大型連休-そうだ 東北へ行こう

「大型連休-そうだ 東北へ行こう」、この文言は、あのJR東海の「そうだ 京都、行こう」のキャッチコピーに似ています。ですから、JR東日本の今年のゴーデンウィークのキャンペーン用として準備していたものかなとも思ってしまいますね。でも、本日、4月28日の朝日新聞朝刊の社説のタイトルは「大型連休ーそうだ 東北、行こう」でしたからね。実は、私はJR東海のキャッチコピーも「そうだ 京都へ行こう」と、ずっとそのように思っていました。”京都へ”は間違いで、”京都、”が正しいのですね。ですから、私はJR東海の京都を意識しながら、朝日新聞社説を借りて、「そうだ 東北へ行こう」、と呼びかけます。

あの「そうだ 京都、行こう」キャッチコピーと切っては切れないのが、山口百恵さんの「いい日旅立ち」のメロディーでした。すばらしい取り合わせで、なんと旅の心を沸き立たせるものかと思ったりもしました。でも皆さんご存じのように、これは誤解ですね。「そうだ 京都、行こう」キャンペーンはJR東海が1993年から展開している京都キャンペーンですからね。

「いい日旅立ち」はJRの前身、国鉄時代、1970年から始めたディスカバー・ジャパンキャンペーンの中の、「いい日旅立ち」キャンペーンソングでした。もう随分昔のこと、1978年頃になりますね。本当に懐かしい感じがします。

今年のゴールデンウィークは明日から始まりますが、東日本大震災と福島原発事故災禍による自粛ムードで、日本各地の観光地にいつもの活気がみなぎっているわけではないようです。外国から日本への観光客が大幅に減るなかで、被災地東北にエールを送り、東北地方をもっと元気にするためには、まず私たち日本人が率先して東北に出向く姿を見せたほうがいのです。

そのために、JR東日本はどのようにキャンペーン・ソングを考えたのでしょうか。キャッチコピー、キャッチフレーズはどうなるのでしょうか。東北新幹線は4月29日に全線復旧し、「はやぶさ」は新青森まで駆け抜けます。被災地東北を勇気づける働きを期待しますね。それで、JR東日本は、「そうだ 東北、行こう」のキャッチコピーを使って、「はやぶさ号は東北へ」、「はやぶさ号は北国へ」、「はやぶさ号はおくの細道へ」、「はやぶさ号はむつあおもりへ」、「はやぶさ号は津軽海峡へ」などと旅人を東北に呼び寄せます。東北地方の青森、岩手、宮城、福島ですから、陸奥、陸中、陸前、いわき、いわしろを入れた方がいいのかな。やはり、「そうだ 東北、行こう」しか浮かんでこない。すいません頭が古いもので・・・。

そして、朝日新聞社説の筆者は、旅人は被災地でがれきを片づけなくてもいい。肩ひじ張らず、ごく普通に東北を旅し、喫茶店でコーヒーを飲んで、地元の人と話をする。それも立派な支援活動になるだろうと、書いて旅人を元気づけます。

一方、本日の朝日新聞の天声人語です。同じく、旅に出掛けましょうと、松尾芭蕉と吉田兼好を取り上げていました。芭蕉はおくの細道がありますから、良いのですが、吉田兼好はどのように関係するのでしょうか。

まず、松尾芭蕉から行きますね。引用して敷衍(ふえん)、と言っても勝手に解釈を拡げますからね。

---引用開始

〈行く春や鳥啼(な)き魚の目は泪(なみだ)〉の名句を手始めに詠んで、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出たのは1689(元禄2)年の3月27日だった。旧暦だから、今年の暦にあてはめれば明日が旅立ちの日にあたる。
北へ向かうのに、「時あたかも良し」と芭蕉翁は思ったのだろう。風光る春から、風薫る初夏へと移る季節は、自然の中に盛り上がるような力がみなぎる。その力を俳聖は借りようとしたのではないか。後世、この時期に黄金週間を置いたのは絶妙の配剤といえる。(黄金週間:ゴールデンウィークです)
その黄金の輝きが、今年はくすんでいる。震災の衝撃はあまりに大きく、大勢の胸から「旅ごころ」を吹き消した。原発禍を案じて外国人は日本を敬遠したままだ。津々浦々、多くの観光地が、かつてない痛手を避けられそうにない。

---引用終わり

天声人語の筆者が松尾芭蕉の「おくのほそ道」から書き始めたのは、頭の中に今回の被災地、東北(岩手、宮城、福島)を意識していますね。東北地方に旅に出ましょう。東北へ行きましょうとの考えからですね。
ここで、〈行く春や鳥啼(な)き魚の目は泪(なみだ)〉の句をもってきたのは、旅の最初の句だからですね。あの〈草の戸も住み替わる代ぞ雛の家〉の句は、まだ出発していないときの句ですからね。
”魚の目”の”魚”は、芭蕉の経済的支援者で魚の卸(おろし)を営んでいた高弟・杉山杉風(さんぷう)を指すと言われています。
松尾芭蕉は門人・曾良(そら)と二人、笠に「同行二人」と書き付けて長途(ちょうと)の旅にでかけたのです。四国巡礼での「同行二人」はいつも弘法大師とともにあるとの意味です。こちらは一人の巡礼でも「同行二人」と書きます。

俳聖(はいせい)はすぐれた俳人のことですね。特に松尾芭蕉を指して言います。与謝蕪村や小林一茶はあくまで俳人でよいのです。
松尾芭蕉は「おくのほそ道」では、〈松島の月まず心にかかりて〉、と、あの東北松島に格別なあこがれを抱いていたのですね。つまり芭蕉は「そうだ、東北へ行こう」と思い立って出掛けたのでした。本当ですよ。

そして、5月9日に芭蕉は舟でついに松島に渡ります。松島のあまりの美しさに、芭蕉は、言葉を失い沈黙を守ったのでした。芭蕉は、おくの細道の中では、中国の名勝・洞庭湖(どうていこ)や中国の詩人・蘇東坡(そとうば)の詩で松島を褒めちぎっています。ところが肝心の句、俳句は残していませんね。〈松島やああ松島や松島や〉は、芭蕉の句ではありませんね。〈いずれの人か筆をふるひ、詞(ことば)を尽くさむ〉と、あまりの美しさに沈黙したのでした。

風薫る春から、風薫る初夏へと移る季節は、自然の中に盛り上がるような力がみなぎる。その力を俳聖、芭蕉が借りようとして東北松島に出掛けた。この時期にゴールデンウィークを置いたのは絶妙の配剤(はいざい)と天声人語の筆者は言います。つまり、もうこれ以上無いという絶好かつ適切な配置ということです。
そのゴールデンウィークがやってきたのに、東日本大震災の衝撃があまりにも大きく、旅にでたいと思う気持ちを吹き飛ばしてしまった。福島原発事故を心配する外国人は日本を避けたままになっており、あまねく全国的に観光地はかってない痛手を被っている、と嘆いています。

ここで、アメリカの、世界貿易センタービルに飛行機が自殺行為で飛び込んだ、あの9・11事件に触れます。アメリカも当時は旅行者が減り、繭(まゆ)ごもり状態になった。しかし反面、家族や共同体の絆(きずな)は深まった。それで、筆者はゴールデンウィークは家族で旅をしようと提案する。ここで、徒然草、兼好法師の徒然草の一文が紹介されるのです。天声人語のその部分を引用します。

---引用始め

9・11後の米国もよく似ていた。旅行者は減り、繭ごもりを意味する「コクーニング」という言葉が流布した。「日常に戻ろう」と為政者は叫んだが、笛吹けど踊らず。トンネルを抜けるのに長くかかった記憶がある。
半面、繭(まゆ)ごもりで家族や身近な共同体の絆は深まったとされた。ならば一石二鳥、ゴールデンウィーク(GW)は家族で大いに旅すべし、と我が単純な頭は考えるが、いかがだろう。
古典に戻れば「徒然草」の兼好法師も旅を勧める。〈いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ目覚むる心地すれ〉。リフレッシュには旅が一番、だと。早く旅ごころを取り戻したい。物見遊山と言うなかれ。がんばろう日本の、花も実もある実践になる。

---引用終わり

おおきな事件や災害の後には、あまり積極的に何かやろうとの考えが起きませんよね。でも、それが続くと気分も晴れません。為政者が自粛だ、そんな浮かれる状況にはないとしてそのままになってしまいます。いくら政府や官僚を攻めてもそんな状態が改善される訳はないのですから、筆者のゴールデンウィークは家族で大いに旅をして、気分転換を図ろうとの提案になるのです。そして、吉田兼好の徒然草の出番になります。筆者は徒然草の15段の冒頭の文章を取り上げ、リフレッシュするには旅が一番ですよ提案しています。

徒然草の第15段は、〈どこでもいい、暫く旅に出て滞在していると、その間は目のさめるように清新な気がするものだ〉、と言っていますね。それで、リフレッシュには旅が一番なのですね。早く旅ごころを取り戻し、がんばろう日本の、花も実もある実践になる、とまとめています。うまく徒然草を使っていますね。

あの、徒然草の15段はその後、〈そのわたり、ここかしこ見あるき、いなかびたる所、山里などは、いとめなれぬことのみぞ多かる。都へたよりもとめて文やる、「その事かの事、便宜(びんぎ)に忘るな」などいひやることこそおかしけれ〉と続きます。

そして、旅ごころを早く取り戻し、がんばろう日本の花も実もある実践になる、と締めます。花も実もあるですから、外観も美しく、内容も充実していることです。

ゴールデンウィークには旅にでかけ、旅ごころを取り戻し、がんばろう日本の花も実もある実践としたいものです。

その時には、「そうだ 東北へ行こう」とつぶやいて実践したいものです。行き先が東北でなくても、旅にでかけることが、東北を、そして日本を元気にすることなのですから。

大型連休- そうだ 東北へ行こう、ブログでした。

小さな旅でも、はたまたどんな旅でも、旅ごころが日本を元気にすることなのです。

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